ミュージカル おもひで ぽろぽろ

わらび座のミュージカル公演に、行って参りました。わらび座に友人がいるという私の友人からの紹介でした。取り付きの悪いhahatenは、広告を見ただけでは多分行かなかったでしょう。
スタジオジブリ作品の「おもひで ぽろぽろ」をミュージカル化したもので、今年4月から一年間、わらび座としての全国公演をしているとのことですよ。

お話は、東京の銀行で働くタエ子が主人公で、ある時5年生の自分が現れたことがきっかけとなって、その頃あこがれていた「田舎」へ行こうと休暇ををとる。訪ねた先は山形県の農村。そこでは溢れるばかりの自然と、里山の人々の生活にふれて、大きな解放感に満たされる。が、小学校5年生の私が一緒にそこにいることで、当時のいろいろなおもひでがぽろぽろ、ぽろぽろ、こぼれ落ち、家族のこと、友達のことよみがえってくる。胸にしまって思い出したくないいやなことなど・・・しかし、「田舎」の自然と人々の中で癒され新たな勇気がわいてくる・・・。
舞台はシンプル。だから観客の想像力をかきたてるんでしょうか? 登場人物の紹介が続く第一幕は、舞台が広いなあ、と思いましたが、第2幕は、登場人物の心の内面に迫っていく展開で、このシンプルさがいいんだなあ・・と決して広さを感じさせない演技は見事だったと思います。
特に、「田舎」のおばあさんがうたた寝をしている時、昔の初恋の少年があらわれ、おばあさんが私はこんなに年老いてしまったと嘆くと、少年は、「長生きしてくれてよかった。私は戦争で死んでしまったが、思い出してくれありがとう」と去ってゆくシーン、また、亡くなった姉が若いままに現れ、「12歳から働きに出されて辛かった。でもあなたはそのおかげで、小学校に通うことができたんだよね」と言われ、悲しみを募らせるおばあさん。でもうたた寝の中です。
人って、思い出の中に「憧れた田舎」や故郷があるのかもしれませんね。そのひとつひとつを掘り返してみると、自分をめぐる人たちの優しさが見つけられるし、自分の存在の確かさも見つけられるということでしょうか?
人間であるということは、昨日と明日を考えることができる、だそうです。