「悪魔の飽食」札幌公演によせて

近所の畑いっぱいの花
7月2日札幌公演は、2000席のKitara大ホールをいっぱいにして、全7楽章を見事に歌い上げ、大きな拍手に包まれました。230名といわれる合唱団は、8段もの高さに並び、壮観という言葉が多分ピッタリでした。7段目中央に並んでいた友人に、「クラクラしなかった?」と聞きましたら、「目線をきちんと固定するよう指導されていたので大丈夫でした」とのこと、彼女は「演奏会が終わるアナウンスが入ったのに、お客さんが帰らず座ったままの人が多い演奏会は初めてだった」と感動していました。
このように舞台と客席を結びつけたものは、舞台演奏の感動にプラスして、この組曲の作曲者であり、指揮者である池辺晉一郎さんの、演奏前のお話だったと思います。
もちろんジョークもあり、あの大きな会場が笑いに包まれましたが、ナチスドイツを降伏させる力となった「ノルマンディー作戦」の70周年記念式にドイツのメルケル首相が出席したことにふれ、ドイツが戦後処理とナチスの断罪を行ったから、記念式典に出席できたが、これが日本ならどうだろうか? アジア諸国に呼ばれることもなく、出席もできないだろう。
また、前日7月1日の「集団的自衛権行使容認」を閣議決定したことについて、「組曲悪魔の飽食」は歌わなくて済む世の中になることを願ってきたが、この状況ではますます歌い続けることが必要になってしまった。と残念そうに話されました。
池辺先生のこのお話によって、組曲への理解、そして今日この時に聴くことの意味がはっきりしたのだと思います。
帰りは、例によって、居酒屋でジョッキを傾け、演奏会の余韻に浸りました。