母のこと


老健施設や特養ホームへ入所して3年の月日がたちました。しばらく前から今の施設で生きていく覚悟を決めたようで、以来、寝る、起きる、立ち上がるがとても身軽に動けるようになりました。それでも普段に生活していた方々とはほとんど交流がありませんでしたが、このたび、以前習っていた日本舞踊の仲間の方が施設への訪問演奏ということで、8人が大挙して訪ねて下さいました。
 演奏をわくわくしながら一番前の席で待っている母です。
10月14日の訪問が決まってから母は、カレンダーに丸印をつけて待っていましたが、丸を付け過ぎて5日前に私が訪ねたときは「今日だった?」と間違えるほどに、顔もしっかり洗って用意していた、と笑っておりました。
踊りの先生はじめ、仲間の皆さんとの久々の出会いは多分母を元気づけたことと思います。何時かしら自分は97歳だと思っているようで(本当は94歳)100歳は目の前だから頑張ると言っております。
いずれも楽屋内は演奏準備にいろいろですが、初めて日本舞踊の裏方を見せていただきました。14時開始の演奏に、11時半弟子たちの楽屋入り、12時先生の楽屋入り、即、襦袢や上っ張りに着替えて、白ファンデ、演奏の着物に着替えて飾りをつけ、紅を入れる、肘の下まで水溶き白粉を塗るなどなど、その間に昼食をとって・・・ 先生の厳しい指示の声だけが響き、開始直前に先生の舞台衣装がようやく出来上がるという、本当に大変な準備で、母へ踊りを見せてやりたいという皆さんの気持ちに感動するしかありませんでした。
開演時間には、50人ほどの入所者の方が集まり、拍手も大きく、日舞の先生方の演舞は素晴らしいものでした。
夫も時間をとって協力してくれましたし、hahatenもおかげさまで親孝行をさせてもらいました。