韓国公演・平和の旅 ノグンリ(老斤里)の虐殺事件の地に立って

この4月に「組曲 悪魔の飽食」の練習の中で、731部隊についての講演があり、そのときにノグンリの虐殺事件についても触れられて、はじめてその事実を知りました。そして、韓国ツアー中の7月27日、事件現場となったトンネルのある広場において開かれていた犠牲者の慰霊祭に参加しました。

献花をした後、そのトンネルに打ち込まれた銃弾の痕を見ましたが、トンネル口双方とも弾痕が残りこれでは誰も外へ逃げることは出来なかったと思われます。
私のおぼろげなる頼りない知識ですが、朝鮮戦争が始まった1950年7月、韓国政府軍とアメリカ軍の連合軍は南へ南へと押されており、そんな状況の中で、人民軍が避難民に紛れているとの情報に基づいて人々を村から追い立てながら、このノグンリ村近くまで来たとき、アメリカ軍は、線路の上に上がることを指示し、そしてその後に爆撃機が飛んできて人々を撃ち始めるのです。そこでは多くの人々が殺されたり、怪我をしたり、しかし夜の闇に隠れて傷ついた身を引きずりながら逃げた人々もいました。
その後、生存していた人々を、双子トンネルといわれるトンネルへ武器で脅しながら誘導します。そして、トンネル口双方から60時間にわたって銃撃を続け、400人といわれる人々が虐殺されたのです。

このことは長い間世の中に知られることはありませんでした。それは、被害をこうむった家族がこの事実を明らかにしようとすれば、「共産主義者」という攻撃が人々の身に及ぶ、そんな政治的な事情もあった長い時を潜り抜けなければなりませんでした。しかし、1999年になって、この虐殺で5歳と2歳の子を失った父親であるチョン ウニョンさんが、かろうじて生き延びた人々や、この事件を見ていた人の証言をこと細かく集め、ノンフィクションとして「ノグンリ虐殺事件」を刊行したことによって世界に報道されるようになったそうです。
それは、59周忌を迎えた慰霊祭が第11回となっていることに被害者や遺族の方々の悲しみと怒りが伝わってきます。今、ノグンリの被害者とその家族たちは、アメリカにその責任を認めさせるべく法廷でのたたかいにとりくんでいます。

このトンネルの辺りは、来年に記念公園となるべく整備が始まっておりました。どこまでも青い空・・・世界のあちこちで続く戦争と罪なき人々が殺されている現実。しかし、平和を願うたたかいは、この地からも動いているのです。
私たちがこの地で聞いた被害者の方のお話は ノグンリの証言としてYouTubeにのっていますので、是非ご覧になってください。
http://www.youtube.com/watch?v=bBLAIh25sDI
また、ノグンリの虐殺事件については、インターネットの検索でもたくさんの情報が載っています。
「ノグンリ」について理解を深めていただければありがたく思います。

さて、悪魔の飽食合唱団 韓国ツアーはこれにておしまいとしたいと思います。いろいろ迷いながら長いみちのりでした。
来る10月25日には、士別市で開かれる道北うたごえ祭典に「悪魔の飽食」の演奏があり、参加の予定です。そのためには練習が・・・
悪魔に明け、悪魔に暮れる2009年になりそうです。また折にふれて「悪魔」でお邪魔いたしますね。