朱鞠内湖と願いの像

このたび「悪魔の飽食」を演奏するにあたって、一日で車の往復は少しきついということで、思い切って前日土曜日に出かけることにしました。宿泊は、剣淵町にある「レークサイド桜岡」温泉つきです。
青空が広がる絶好のドライブ日和で、途中パーキングエリアで休憩をとりながら、3時間あまりで士別市に到着でした。
目指すは朱鞠内湖、地図を見ていましたら途中に、「羊と雲の丘」があるではありませんか?ここは春夏は放牧する羊を目の前にしてラム肉のご馳走を食べるところと聞いていましたので、景色もよさそうだし、お昼はそこにしようと丘の上に登っていきました。
なだらかな丘陵がまだ緑に覆われていました。
朱鞠内湖はさすがに広い!ここが戦前から戦中まで、ダム建設に非常に過酷なたこ部屋、朝鮮人などの強制連行・強制労働が行われたところです。
 
終戦を境としてそれ以前の道路や鉄道、ダムなど建設工事には、国策として認められたこのような強制労働があったのは歴史の事実ですね。
まだ働く者に権利など認められていない時代でした。でも今も「働くルールの確立を」というスローガンが掲げられ、「蟹工船」が現在の労働者と相通ずると脚光を浴びているわけですから、状況こそ違え人間としての尊厳が守られていない社会なのかと思います。
朱鞠内湖を後にして、夫が「確か強制連行の犠牲者の碑が建っているはず、光顕寺というお寺もあるはず」・・・・という言葉を口にしていたら、右手のほうに「願いの像」が建っておりました。その偶然に本人が一番驚いていました。
 
そして、それまでの遺骨発掘作業でわかった朝鮮人36人を含む204人の犠牲者の鎮魂と平和への発信を誓った碑文が刻まれておりました。近くには、犠牲者を弔った光顕寺があり、今は無人のお寺でしたが、遺骨発掘作業にかかわった人たちの活動の跡をしっかりと記録にとどめておりました。

組曲悪魔の飽食」とこの強制連行労働はその元を同じくして起きている問題でした。水源を天塩川に共有するこの地域の町で、「悪魔」を演奏できるのも深い因縁なのかも知れません。
  
http://www.geocities.com/shumarinai/pic1.htm
朱鞠内ダム強制労働の歴史についてお読みください。