涼風颯々聲 (りょうふうさつさつのこえ)


7月半ばは台風11号の影響で、雨模様の湿った日が続きました。そんな一日、社中のお茶の会がありました。今回席を担当された方は、茶道60年を歩まれた80歳の方でしたが、7月が誕生月とのことで記念になるかな?と病を押して準備されたとのことでした。
たくさんのお道具を持っていらっしゃる方ですが、70歳になってからはお茶を「遊び」と考えて、自由に己の考えるままにと、楽しんで来たと話されておられました。
この水指は、結婚式の引き出物のサラダボールだったそうですが、割蓋を合わせ、この夏の時季を涼しく演出されておりました。
この蝉籠も昔から大事にされてこられたようで、まるで本物の蝉のようですね。
他にも思い入れの深いお道具を自宅からわざわざ運んで来られておりましたが、お茶を始めた20歳の時に購入したという春慶塗の棗、黒薩摩の茶碗、白薩摩の茶入れ【瓢)名物裂「宗薫緞子」の仕覆等々見事なお道具群でした。
お茶の稽古では、「重いものは軽く見せ、軽いものは重く見せる」とよく言われますが、この方の先生は「短く小さな茶杓を、薙刀を持ったように拭きなさい」と指導されたそうです。とても具体的な表現なので一度聞いたら忘れられませんね。
70代に入ってお茶を愉しみと考えた方、同じ70代でも未だ道に迷っているhahaten、とても大きな違いですね。でも迷ったり、決まりごとにとらわれて何もしないよりは、自分なりのお茶を愉しむ方がよいのかもしれません・・・・・