この世界の片隅に


原作:こうの史代 (双葉社刊行の映画化)にあたって、3,334人のサポーターが製作費として3千9百12万円を集めたという話題作なんですね。昨年11月に公開されて今年4月まで全国各地でロングラン上映だったそうです。
この経過をまったく知りませんでしたが、札幌北区の新婦人が、毎年一回の文化行事としていつも映画を取り上げているのですが、今回はこの「この世界の片隅に」ということで取り組まれていました。
6月9日から三日間、一日4回の上映でした。10日土曜日はいつもと違い若い方が目立ち、映画館はほぼ満席でした。
主人公は、広島市で育ち、呉市に嫁いだ女性、すず。絵を描くことがとても好きで得意な、少しのほほんとしていて、現状を素直に受け入れていく女性です。丁度太平洋戦争末期で東洋一と言われる軍港があった呉市は、当然ながら何度も激しい空襲に襲われます。そんな中ですずは連れていた姪を投下された時限爆弾で失い、自分も繫いでいた右手を失います。そして8月6日広島への原爆投下。呉はその爆発の衝撃で地の底から揺れ動きます。原爆で父や母を失い、妹も原爆症に侵されていました。そして降伏、終戦。すずは初めて叫びます。「ひとりになるまで戦うのではなかったのか!」
負けるはずではなかった戦争、ひたすら耐えて来た日常、失ったものがあまりに多く大きい・・・でもすずは、これまで歩んできたようにごくごく普通に現状を受け入れて行く。だって、この世の片隅に元気に生きて行くことが大切だから。
そしてその後のすずの生活が、映画のエンディングで絵で描かれてゆくんです。3000人を越えるサポーターが字幕で流れます。長く続く画面を見ながら、何故か涙があふれてきました。何の涙なのか自分でもわかりません。もっと考えてみないと・・・
観る機会があったら是非ご覧くださいね。まだ間に合いますよ。どなたでも1000円(大学生以下500円)デス。

今日は12日。伸ばし伸ばしでやっと書きました。